システムデザイン研究科

インダストリアルアート学域

金 石振

最終更新日:2019/02/28

環境の変化に対応する家電と空間の連携に関する研究

製品イノベーションデザイン、サステナブルデザイン、未来住居環境、未来家電

  • 金 石振

  • Kim Seokjin

研究概要 居住空間を構成する組み合わせ可能な機能ユニット
製品開発で最重要になりつつあるデザイン部門とデザイン能力

 従来の製品開発は、事業部門主導の商品企画に合わせ技術を探す方式が主流だったが、先進のグローバル企業では技術と商品企画を同時に検討しながら、最初からデザインを進めていく方式を採用している。そこではコンセプト、意匠や機能、インターフェィスのあり方、それらを裏づける技術や部品の配置・設計、採算性までを総合的にデザインする能力が必要だ。したがって現代の製品開発で最も重要なのは、デザイン部門とデザイン能力となりつつある。たとえばSAMSUNG電子のデザイン部門の陣容は1,500人。激烈な企画競争をさせて新製品を生み出す仕組みが形成され、同社の国際競争力の源泉となっている。
 デザインとは技術、環境、文化などの側面からモノの本質を探り、新しいライフスタイルや概念を創出する作業である。現在、近未来の居住空間を想像しながら、そこで必要とされるさまざまな機能を備えたユニットとその構成などのデザインについて研究を進め、提案している。
 たとえば、パソコン機能をはじめとして、さまざまな機能を持つテーブルだ。家電製品と家具が結合することによって、デジタルとアナログの融合を目指した研究である。「Function Table」(写真)は、機能をユーザーの好みに合わせて選び、組み込むことができるユニット式のテーブルである。ユーザーによる自由な空間創りが可能になる。各ユニットを壁に組み込むなど、居住空間のさまざまなところに配置できるようにすれば、家電、家具、空間の概念的な区別は消えてしまうだろう。各ユニットを技術の進歩に沿って入替え可能な方式とすれば、このシステムは長く維持できる。
 デザインの対象はモノだけではない。たとえば日本文化にある“おもてなし” の概念はデザインそのものである。ホテルと旅館のホスピタリティは何が違うのか。旅館が打ち水をしてユーザーを迎えることは感動的だ。このような発想が工業製品にも生かせるはずだと考え、着目している。

最近のトピックス

今後の展望 デザイナーとして社会をより良く変えていきたい

 学内の研究室と連携し、試作機や試験装置のデザインを一般製品レベルまで高める活動を始めている。第1号は病院や空港で使用する「検疫システム」だ。都内の病院で試験し実証的データが得られただけでなく、製品化への問い合わせも届いている。大学の研究成果を社会で認知、活用してもらうための効果は高く、今後も対応していきたい。このほか東京都のプロジェクトである防災用トレーラーハウスのデザイン、日野市のおもてなしロボット、肝臓移植用のキャリア―デザインなど社会貢献型のデザイン開発が多い。
 デザインに着目した企業が業績を伸ばしているように、デザイナーには社会を変える能力がある。社会をより良く変えていくことが夢である。

Function Table<br />
未来の居住環境においてさまざまな機能を備えた空間を構成するための機能ユニットの創造的研究を行っている。 Function Table
未来の居住環境においてさまざまな機能を備えた空間を構成するための機能ユニットの創造的研究を行っている。
産業界や自治体の課題のうちで、適用可能な例 産学公連携は、SAMSUNG電子のスマートフォン用のインターフェースや、さまざまな技術を持った中小企業が集積する日野市のイメージキャラクター用ロボットなどのデザインを支援した実績がある。今後も積極的に対応していきたい。

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