システムデザイン研究科

電子情報システム工学域

田川 憲男

最終更新日:2019/02/28

血管内超音波法(IVUS)のための要素技術の開発

IVUN、超音波高調波画像化、パルス圧縮、超音波モータ、超音波伝搬シミュレーション

  • 田川 憲男

  • Norio Tagawa

  • 大久保 寛

  • Kan Ohkubo

研究概要 血管の診断に有効なIVUSのための超小型音波モータを研究・開発

 動脈硬化等の診断に有効なIVUS(血管内超音波法)を念頭に、超細径で高精細な画像化が実現可能なプローブシステムを開発・研究。IVUSとは、超音波探触子を先端に付けたカテーテルを血管内に挿入し、血管内部から超音波を照射することにより血管壁やその内部、血管壁に付着したプラークからのエコーを画像化する方法だ。この方法は、虚血性疾患の診断等に有効活用されている。
 「IVUSには、1つの超音波振動子あるいは反射用ミラーを機械的に回転させる『機械走査式』と、複数の振動子をラジアル方向に並べて電子スイッチで切り替える『電子走査式』があります。前者は後者に比べて送信超音波のパワーを大きくできる利点があります。しかし、不均一な回転や振動による画像の歪みが出ることが問題です。そこで、私たちの研究室では、超音波振動子をプローブ先端で回転させるための超小型超音波モータの研究・開発をしています」
 同時に、送信と受信を別の超音波振動子で実現させる送受信機構、生体組織中で発生する高調波のシミュレーション分析技術の開発を進めている。

最近のトピックス CS?USMの開発の過程で学術的に重要な現象を発見

 「私たちは、超小型超音波モータの研究の中でコイル状ステータを持つモータCS?USMを開発しました。その過程でロータをステータの外側に配置して低い周波数で駆動した場合、通常の進行波型超音波モータの原理とは逆向きの回転が生じることを発見しました。この現象の解明は、学術的に重要な課題です」
 CS?USM(コイル型ステータ超音波モータ)は、駆動用超音波振動子、音響導波路、コイル型ステータとロータで構成される。音響導波路に超音波振動を与えて屈曲波を発生させると、導波路を通して屈曲波がコイル型ステータに伝搬し、コイル表面の粒子が楕円運動を行う。この表面粒子とロータが接触することにより、一定方向の摩擦力が働き、ロータは回転運動を行うという原理だ。

今後の展望 直径1mm以下のIVUS用プローブに医療関係者の期待が集まる

 CS?USMの開発にあたっては、超音波の非線形伝搬に起因する高調波を高感度で受信するためにはPVDF(圧電フィルム)を受信用振動子とするのが有効であること、基本波の高調波への漏れを軽減するためにパルス圧縮法が効果的に利用できることを確認した。それに基づき、送信用PZN?PT(単結晶圧電素子)に受信用PVDFを貼り付けた送受分離型インライン送受信システムを考案した。
 「振動子をプローブ先端で駆動することによって、画像に生じる回転ぶれの影響を除くことができます。また、送受分離型送受信機構によってS/Nの高い高調波画像化を実現できる直径1mm以下のIVUS用プローブの開発に進展が見られました」
 高度医療機器の発展が目覚しい中、直径1mm以下のIVUS用プローブの開発には、社会的に大きな期待が寄せられている。

機械走査式IVUS(血管内超音波法) 機械走査式IVUS(血管内超音波法)
CS ? USM を用いたプローブの試作 CS ? USM を用いたプローブの試作
CS ? USM の駆動原理。外部ロータは周波数が低いときに屈曲波進行方向と同じ方向に回転(通常の超音波モータの逆) CS ? USM の駆動原理。外部ロータは周波数が低いときに屈曲波進行方向と同じ方向に回転(通常の超音波モータの逆)
産業界や自治体の課題のうちで、適用可能な例

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