人間健康科学研究科

放射線科学域

沼野 智一

最終更新日:2019/02/28

MRI装置の撮像技術

MRエラストグラフィー、MRIパルスシーケンス、MR拡散強調画像法

  • 沼野 智一

  • Tomokazu Numano

研究概要

組織の硬さ(弾性)の的確な診断は疾患状態を把握する上で重要な情報の一つとなる。現在その診断は、乳がんなどに代表されるように医師による触診が一般的である。触診は病変が大きい場合には有効であるが、疾患初期段階など病変が小さい場合や体内の奥部にある場合には判断がつかないことも多い。また触診による評価は医師の経験に頼る部分が多分にあるため定量的な診断は難しい。そのような背景のもと、組織弾性を定量的に評価できる可能性を秘めた画像診断方法として注目されているのが「MRエラストグラフィー」である。この画像診断法は臨床現場で使用されているMRI装置を用い、患部などの対象に振動を加えながらMRエラストグラフィー専用の方法で撮像し、局所的な弾性率(固さ)の違いを画像化するもの。これにより、MRI装置の画像診断能力を向上させる可能性がある。現在基礎研究段階にあるMRエラストグラフィーではスピーカーなどの振動を利用した音圧式加振が主に用いられているが、加振するための周波数が低く、的確な診断が下せる画像を再現することが難しい。そこで沼野助教は、音圧式に代わって空気圧縮を利用した加振器を新たに開発。加振器内のボールの回転数から周波数を測定しMRI装置とシンクロさせることで、音圧式より高周波数での撮像を行うべく研究を続けている。この加振器は、「磁気共鳴エラストグラム(MRE)の作成方法及び作成装置、並びに磁気共鳴エラストグラム(MRE)作成用のボールバイブレータ」として国内・国際特許出願中(特願2009-256251, PTC/JP2010/004037)であり、MRI製造をはじめとする各種医療機器メーカーとの共同研究も視野に入れて、展開している。

最近のトピックス

今後の展望

学部で所有している3.0T(テスラ)のMRI装置を利用し、基礎研究段階である上記の画像診断法について、人を対象としたケーススタディを行う予定。これにより、より精度の高い画像診断法の確立を目指している。また一方で、MRエラストグラフィーの撮像におけるMRパルスシーケンスの検討も喫緊の課題として研究を進めている。現在、一般的な臨床現場で使用されている撮像方法を用いてMRエラストグラフィーを撮像することが可能となるなど、臨床現場においてMRエラストグライフィーを容易に導入できる可能性が高まっている。この研究をさらに推進させるため、MRI装置製造を行なう医療機器メーカーおよび医療機関などとの綿密な意見交換も必要と考える。さらに様々な関係機関との議論によって、この画像診断法の可能性を広げていきたい。

学内のMRI装置。3.0Tという強力な磁力を常時発生している 学内のMRI装置。3.0Tという強力な磁力を常時発生している
MREでは、周波数が高いほうが、より詳細な診断が可能になる MREでは、周波数が高いほうが、より詳細な診断が可能になる
特許出願中のボールバイブレータによる加振器 特許出願中のボールバイブレータによる加振器
産業界や自治体の課題のうちで、適用可能な例 放射線医療機器メーカー、医療機関など

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