理学研究科

物理学専攻

柳 和宏

最終更新日:2019/02/28

単層カーボンナノチューブカラー薄膜におけるエレクトロクロミック特性に関する研究

単層カーボンナノチューブ、エレクトロクロミック、ナノサイエンス、ナノテクノロジー

  • 柳 和宏

  • Kazuhiro Yanagi

研究概要

単層カーボンナノチューブとは、直径1nmほどのカーボン材料で、レアメタルフリーな電気化学素子や透明導電膜への応用が可能な素材である。
柳研究室では、単層カーボンナノチューブ、およびその分子内包複合体・集合体を対象とした研究をしており、極めて高純度の単層カーボンナノチューブを精製する技術を有している。
「単層カーボンナノチューブおよびその内部という低次元系における物性に興味を持ち、研究を続けてきました。単層カーボンナノチューブに分子を内包すると、さまざまな機能が発現します。例えば、視覚に関係するレチナールという分子に球状のカーボン材料であるフラーレンをつなげた分子を内包することも可能です。単層カーボンナノチューブ内部の一次元空間においても、構造変化や光励起エネルギー移動などが起こりうることがわかってきました」。
研究開発を行っている単層カーボンナノチューブは、グラフェンシートを一巻きにしたナノ炭素材料で、高純度に精製すると円筒方向の量子化条件によって、巻き方(カイラリティ)に由来した様々な色を示すことがわかった。柳研究室では、鮮やかな色を示すカーボンナノチューブの色を、電気化学的に制御することに世界で初めて成功した。
「単層カーボンナノチューブを高純度で単離精製すると、シアン・マゼンタ・イエロー色の単層カーボンナノチューブ溶液を得ることができます。この特性を活かし、電子ペーパーなどにつなげていきたいと考えています」。
構造と性質との関係解明に焦点を当てながら、ナノスケールにおいて発現する興味深い物性に注目して研究し、またナノスケールでの構造・機能を制御可能とさせる様々な技術開発も同時に行っている。

最近のトピックス

今後の展望

ナノスケールは、分子・原子のミクロな世界と、人為的な操作が容易なマクロの世界との橋渡しをする、非常にユニークな領域である。柳研究室では、現状の技術を革新するためには、この領域での現象を深く理解し、制御する技術を確立することが重要であると考え、研究を進めている。
「さらなる高純度精製技術の開発とともに、高純度な精製単層カーボンナノチューブおよびその集合体の真の基礎物性を解明していきたいと思っています。単層カーボンナノチューブの結晶は、まだ作成されていませんが、結晶を作成してアルカリ金属をドーピングすると超電導になるといわれていますし、材料として非常に可能性があると考えています」。
金属型単層カーボンナノチューブや半導体型単層カーボンナノチューブの産業利用を目標とした研究も進めていく。
「これからは、色素タンパク複合体での高効率の光エネルギー移動や電荷分離など、自然界の光合成反応初期過程で見られるような、特殊な機能を備えたナノ構造体を創製したいと思っています。そして、そのナノ構造体をさらに高次に配列させて全く新しい機能や現象が発現するような材料の開発を進めていく予定です」。

上:様々なカイラリティの単層カーボンナノチューブ溶液の色
右:レチナールにC60分子を接続した分子を内包した単層カーボンナノチューブ 上:様々なカイラリティの単層カーボンナノチューブ溶液の色 右:レチナールにC60分子を接続した分子を内包した単層カーボンナノチューブ
産業界や自治体の課題のうちで、適用可能な例 電子ペーパー、キャパシタ、電気化学素子

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