理学研究科

物理学専攻

宮田 耕充

最終更新日:2019/02/28

二次元結晶など機能性ナノ材料の成長・構造制御と物性研究

ナノサイエンス、二次元結晶、グラフェン、窒化ホウ素、遷移金属ダイカルコゲナイド、 結晶成長、ヘテロ構造、一次元界面、トランジスタ、ガスセンサー

  • 宮田 耕充

  • Yasumitsu Miyata

研究概要 複数の二次元結晶の接合に成功1年半で1千個ほどの試料を作製

 これまでカーボンナノチューブの研究をしていたが、2009年から原子が1個から3個くらいの原子レベル(1ナノメートル=10億分の1メートル)という究極的に薄い原子厚材料の世界を扱う基礎研究を開始している。新たな電子デバイスやセンシング材料などへの応用につながる可能性のある最先端分野だ。2004年に発見されたグラフェンという新物質の研究に2010年にノーベル物理学賞が与えられ、脚光を浴び始めた。その構造や計算上の特性は解明されていたが、非常に小さい世界のことなので実際に厚さが均一であるのか穴が空いているのか、物理学特性はどうなっているかなど、分かっていないことが多い。
 この中で私が取組んでいる研究は、結晶の成長と電子・光物性に関するものである。原子厚材料のことを二次元結晶(二次元的な広がりしかないため)、または原子層物質と呼んでいる。二次元結晶の製造法の研究は世界中の研究者のホットトピックになっている。ガス状にした炭素、金属、硫黄などの原料を反応させる化学気相成長法などを使って、実際に二次元結晶を合成している。
 2種類の二次元結晶を接合させる研究にも取組んでいる。例えば電子デバイスでは、シリコン上に酸化シリコンを重ねることで導電性を制御する複数の二次元結晶の接合に成功1年半で1千個ほどの試料を作製デバイスが開発されている。同様に、いくつかの二次元結晶を接合することによって導電性や発光特性などのある機能性デバイスが作れる。様々な二次元結晶の特性を引き出して新しい素材を作り出していきたい。
 この他、新しい発光デバイス組成の可能性を探るため、二次元結晶の色や発光についての研究も進めている。何の結晶か、何と何を接合したか、照射する光の波長による色や発光の変化を1つ1つ観察している。また導電性の実験をするため、二次元結晶に金などの電極を作製する実験も重ねている。
 どう作るのか、どういう条件なら成長するのか、どうすればきれいな結晶ができるのか、これまでほとんど分かっておらず、方法論が確立されていないため、実験は手探りで状態である。そういう意味では二次元結晶の合成の研究は化学に近く、効率やセンスが要求される。合成されたモノは物理学の対象となる。
 現在は試料作製に重点をおいており、この1年半で1千種類ほど合成した。2012 年に窒素、ホウ素の二次元結晶の接合を初めて実現。最近では、炭素材料上に遷移金属ダイカルコゲナイドを成長させたり、二硫化モリブデンの結晶の端から二硫化タングステンの結晶上を成長させたりと、異なる性質を持った二次元結晶の接合を成功させている。

最近のトピックス

今後の展望 まさに宝探し、新構造物質や面白い物理的現象の発見を追求したい

 鉛筆の芯に使われる炭素の研究からノーベル賞が出たように、身の回りの物を対象とするのが私の研究分野である。今後も4種類、5種類…と二次元結晶の組み合わせを増やし、その物性を解明できればと思っている。ライフワークとしては、新しい構造を持った物質や面白い物理的現象の発見を今後も追求して、世の中に貢献していきたい。まさに宝探しである。産学連携は従来、企業との連携を実施しており、グラフェンの製造特許なども共同出願している。今後も前向きに対応していく考えである。

産業界や自治体の課題のうちで、適用可能な例 電子デバイスやセンシング材料をはじめ、さまざまなモノづくりで活用できる新たな機能性素材の開発

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