システムデザイン研究科

電子情報システム工学域

五箇 繫善

最終更新日:2019/02/26

精密な周波数の発生と実用化へ向けた研究

原子発振器、原子時計、圧電デバイス、CPT、VCSEL、CSAC

  • 五箇 繁善

  • Shigeyoshi Goka

研究概要 高性能機器の開発に加えパワエレの研究にも応用

東京都立大学在学中に、水晶振動子の研究室に入って周波数のとりことなり、周波数の発生と応用、実用化に向けた研究を続けている。周波数は18桁に及ぶ世界で最も高精度な測定ができる物理量である。その周期を表すと、f =1 / T。まさに、周波数の精度は時間を測る精度とつながっている。

超小型原子時計の研究は私のメインテーマである。水晶振動子ではなく原子共鳴という仕組みを使うことで、より精密で狂わない時計を作ることができる。セル(容器)内にルビジウムやセシウム等のアルカリ金属元素(ガス)を入れ、変調したレーザー光を入れると、原子が光を吸って透明になる特性が顕われる。これは変調の周波数が原子内で電子の座れる席の間隔に等しい時で、その原子固有の周波数を取り出すことができる。研究上の課題としては、レーザー光の安定化技術や変調方法、セル内の化学変化抑制や状態検出、低消費電力化など、数多くある。

このような原理を用いて数年前、共同研究先と縦横数センチの原子時計のサンプルを作った。将来さらに小型化・高性能化と低消費電力化の研究が進めば、用途は非常に多い。例えば現在、周波数精度が6桁くらいの水晶振動子を搭載しているスマートフォンだが、12から13桁の周波数精度の原子時計を使えば、通話が瞬時に立ち上がる高機能スマートフォンを作れる。近年、トリリオンセンサという膨大な数のセンサを配置して活用しようという構想があるが、全国各所のセンサの時刻が基準となる時計の時刻と同期していれば、地震源などの正確な把握がしやすくなる。ビル内で加速度センサ等を配置すれば、地震のビル内部構造への影響を研究する際にも使える。

周波数研究の応用としては、圧電デバイスを用いた分野横断型研究がある。高温環境に耐えるシリコンカーバイト(SiC)が半導体スイッチング素子に活用され始めているが、制御ユニットは高温に強くないシリコン製のため離れて配置される必要があり、この間を何本もの配線でつなぐことになる。この配線を簡素化する方式を開発中だ。

具体的には本学のパワーエレクトロニクス研究室と共同で、弾性表面波(SAW)という表面波デバイスを使った周波数多重化の研究をしている。

これは周波数を変えて、各スイッチングデバイスに固有の周波数を決めておいて、ある周波数だけ通すフィルター(SAW)を用意し、オンオフ情報を伝える仕組みである。また高電圧環境に必要な電気的絶縁も両立させることができる。現在、実証実験がほぼできたところまできている。

最近のトピックス

今後の展望 産学公連携ではパワエレ企業に興味

数年前、面発光レーザーを自社開発していた大手電機会社を含めた共同研究をして、超小型原子時計を開発した。産学公連携では、パワーエレクトロニクス関連の企業と組んでみたい。2015年度からは新エネルギー・産業技術総合開発機構(NEDO)のプロジェクトで「センサ端末同期用原子時計(ULPAC:Ultra-Low Power Atomic Clock)の研究開発」に参加している。将来はアルカリガスではなく固体を使った原子時計の研究も行いたい。

超小型原子時計に適用可能な特性改善法の研究・開発を行っている。
図は面発光レーザを直接変調して原子共鳴の特性を改善した一例。
図中の数値はパルス励起したOFF時間を示している。 超小型原子時計に適用可能な特性改善法の研究・開発を行っている。 図は面発光レーザを直接変調して原子共鳴の特性を改善した一例。 図中の数値はパルス励起したOFF時間を示している。
産業界や自治体の課題のうちで、適用可能な例 さまざまなセンサやスマートフォン、パソコンなどの情報通信機器、電気製品等に搭載する原子時計、半導体デバイスの開発等

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