都市環境科学研究科

分子応用化学域

春田 正毅

金ナノ粒子・クラスターの金属酸化物、炭素、高分子への表面分散・固定化と触媒および光学特性

金ナノ粒子、金クラスター、酸化第二鉄、二酸化チタン、活性炭、常温CO酸化、悪臭酸化分解

  • 春田 正毅

  • Masatake Haruta

  • 武井 孝

  • Takashi Takei

研究概要

今日に至るまで『金』は高価な貴金属として、また腐食に強いことから宝飾品に重用されてきた。それは金が化学的に不活性な物質であることの証であり、化学の世界では機能に乏しい物質であった。この化学の常識を覆したのが春田教授である。「金を直径5nm以下の微粒子にすると、従来とはまるで違った振る舞いをすることを発見しました。5nm以下の金ナノ粒子を酸化第二鉄や二酸化チタンの表面上に担持させると、優れた触媒特性が発現します。その性能は、低温では白金やパラジウムを大きく凌ぎ、人体に有害な一酸化炭素を無害化するには、白金触媒の場合、100℃以上の温度が必要ですが、金ナノ粒子触媒はマイナス70℃でも働きます」。金ナノ粒子触媒は湿分によって活性が向上するので、常温での空気浄化が可能である。金ナノ粒子の触媒作用を発見したのが、1982年。84年には特許出願し、92年にはトイレの臭い除去での実用化が始まった。この金ナノ粒子触媒はシックハウス症候群の原因物質であるホルムアルデヒド、ゴミ焼却炉から発生するダイオキシン、あるいはトリメチルアミンなどの悪臭成分の酸化分解除去にも有効である。
金ナノ粒子触媒は、化学工業分野の生産プロセスに革新的な変化をもたらすだろう。例えば、ベッドのマットレスや自動車の内装材・バンパー等に用いるポリウレタン樹脂の原料(プロピレンオキサイド)の生産は反応工程が2段階で、生産量の倍以上の塩素化合物なども副生する。金ナノ粒子触媒を使うと工程は1回で済み、副産物も水だけとなる。春田研では、金属酸化物ばかりでなく、高分子ビーズや炭素材料に金ナノ粒子を分散・固定化する方法を開発し、06年には特許出願。金ナノ粒子の応用範囲はさらに広がる。

最近のトピックス

2013年7月25日:首都大学東京発 ベンチャー企業 『ハルタゴールド株式会社』 設立

今後の展望

「ナノカーボン、MOF(金属・有機のフレームワーク)などのソフトマテリアルに、2nm以下の金ナノ粒子(クラスター)を分散・固定化した物質を調製しました。金は想像を超えた触媒作用を提供します。金をクラスターサイズにまで細かくすると、その物性が劇的に変わります」。金コロイドの色の変化を利用した妊娠検査はすでに実用化されている。春田研究室では、担体によっても金ナノ粒子が発する色が様々に変化することを突き止めている。それも、原色ではなくパステル調の淡い色。化粧品など、繊細なカラーバリエーションが必要な分野に応用できるだろう。82年の触媒作用の発見からまだ28年。金ナノ粒子の研究はこれからが本番だ。
■関連リンク : ハルタゴールド株式会社

金ナノ粒子の寸法、形状、担体物質の誘電率などによる色調の変化 金ナノ粒子の寸法、形状、担体物質の誘電率などによる色調の変化
産業界や自治体の課題のうちで、適用可能な例 固体触媒、金ナノ粒子、高分子表面金メッキ、空気浄化、グリーンケミストリー

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